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2025-08-13

MUSUHI がわたしたちのまちにできるまで – ファサード設計編 –


2022年より建て替えに向けた話し合いをはじめ、24年から25年の初頭にかけて施工を行った”MUSUHIプロジェクト”

この建物は、実にたくさんの人々との関わりがあります。

整骨院やおむすびやさんのお客さん、2Fで行われるPIPPIや音楽教室などの生徒や親。

小さな子供から親世代、そしてお年寄りまで多世代の交わりがある場所です。

建物の建て替えの設計を始めるにあたり、今関わりのある人たち、そしてその子供たちの世代も、この場所を「自分の居場所」と感じ、誇りを感じられる様な場所にしようと話し合いました。

構想にも工事にも、できる限り多くの人に関わってもらえる様、参加型であることを徹底しました。

「参加型」の建築は、つみき設計施工社が市川での創業から14年間貫いてきたこだわりです。

 でも、これだけ多世代に渡る、100名を裕に越える多くの人たちに、深く長く関わってもらったプロジェクトは過去にありませんでした。

そんなMUSUHIがわたしたちのまちにできるまでのプロセスを、2回にわたってご紹介していきたいと思います。第一回目はファサード設計プロセスについてです。

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1.素材を発見する

一人一人が見つけたアイディアや好きという感覚を、建物の姿にぎゅっと凝縮する様な、設計の進め方はできないだろうか。そんな問いを軸に、MUSUHIの設計は進められました。

中でも時間をかけたのが、まちの風景と一部となり、人々の誇りとなる様な『ファサード – 建物の顔』をどの様にしてつくるかでした。

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2022年6月と翌年7月、FOCUSというワークショップを行いました。

FOCUSとは、金魚すくいの「ポイ」に小さな穴が空いた道具を持って、まちを練り歩く不思議なワークショップです。設計やデザインに取り掛かるはじめの一歩として、一人ひとりに「魅力を感じる素材」を身近なところで発見してもらうことが狙いでした。

参加を表明してくれた28名の参加者(ほとんどがご近所さん)にお願いしたワークは、とてもシンプルなものです。真ん中に小さな四角い穴が空いた「ポイ」を持って、MUSUHIの敷地周辺を歩いてみようというものです。

ポイの穴から景色を覗き込むと、いつもの見慣れた景色が小さく切り取られ、普段は見過ごしてしまう素材に視点がフォーカスされます。

「魅力的なものは、身近なところにもあるはず。今日はそれを発見してきてください!」

と伝え、参加者をMUSUHI周辺の住宅街へと送り出しました。

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「魅力を感じる素材」を見つけたら、即座にLINEグループに投稿してもらいました。

全員が1時間ほどの散歩から戻ると、各々が発見した素材をプロジェクターで大きく映し出し、自慢の素材を発表してもらいました。

– 好きな青色を見つけた。

– 近くで見ると、不思議な模様だった。

– これ、何の素材!?

– こんなのどこにあったの?

などなど、お互いの発見を讃え合いました。

参加してくださった28人の方々によって、実にさまざまな色、形、配置、柄を含む356の素材が集まりました。

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「この素材が、どうデザインになるの?」 そんな質問があがりました。

「私たちも、まだわかりません!お楽しみに。」と答えました。

それは、私たちも本当にわからなかったからです。ただ一つ心にあった確信は、構想はいつも心を揺さぶる発見から始まるということです。

356のアイディアの種は、素材カタログとしてまとめ、記録に残しました。

2.グッとくる組み合わせを探す

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356の素材から、どんな発見ができるだろう?

そんな思いから次に企画したのが、素材を組み合わせて”グッとくる組み合わせを探す”というワークでした。ここにはお施主さんご夫婦の他、アートやデザインに興味のある仲間たち計9名が集まりました。356の素材を、1ピースずつ型紙に印刷し、手つかずのパズルの様にテーブルに広げました。各々が「グッとくる」感覚を頼りに、ピースを手に取り、組み合わせを探りました。このワークショップでは、参加者の個性や感覚が絶妙に表現された、グッとくる組み合わせが107通りできました。

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3.建物っぽい形にしてみる

この頃には躯体工事が着工していました。約半年前に素材探しから始まったファサードデザインも、だんだんと抽象度を下げ、具体的な建築デザインへとつなげていこうというフェーズです。まだ最終的なファサードデザインがどのようなものになるか、全くわかりません。でも、それはきっと、仕掛け人である私たち設計者の想像を超え、お施主さんや仲間たちの手を介することで、この瞬間、ここにしかないものが生まれるに違いないと確信していました。

前回のワークで出来上がった107通りのグッとくる組み合わせを、建物前面の立面の形に「切り揃え」ました。これらに「建物感」をもう少し出すため、窓や開口部になる予定の場所に陰をつけました。

グッときた要素を残しながら、建物感を増した107通りのファサードコラージュを冊子にずらっと並べました。

そして行われたのが ”直感で好きな建物の姿と出会うワークショップ”。

「直感を頼りに、好きだと感じるもの、気になると感じるものを見つけましょう」

と声をかけ、つみきメンバーとお施主さんご家族で、まずは各々、冊子を眺めてじっくりと考える

時間を取りました。好きなものには大きな丸いシールを、気になるものには小さな丸いシールを貼りました。その後、好きなもの、気になるものを一人ずつ発表しました。選んだファサードコラージュのお気に入りのポイントや、気になった理由などがあれば自由に発言してもらい、その内容を冊子に書き込みました。

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4.分析

次の段階では、前回のワークで「こういう感じが良い」「気になる」といった声が多く集まったファサードコラージュを15個選定しました。議論された「良さ」を念頭におきながら、15個のファサードコラージュを、実際の建物の構造・構成を意識したより現実的な組み合わせに編集しました。整骨院の入り口になる部分、階段、踊り場、おにぎりやさんの受け渡し場所になる部分、などが表現され、建物の姿が想像できる様になっていきました。

編集された15通りのファサードコラージュを印刷した冊子を用意し、改めてお施主さんとつみきメンバーでの話合いを行いました。今回もまずは、それぞれ手元の冊子に並んだピースを眺めながら、お気に入りのものにシールを貼り、そのピースのどの部分に惹かれるのかをそれぞれ分析し、議論しました。

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5.実現へ

分析した「良さ」を具現化する様な、実際の建材・質感を詰めていきながら、一つの理想的な形を求めて詳細設計の段階に入ります。

何度も細かい確認を行い、途中、道に迷ったり立ち止まったりしながら、2024年9月「これで行こう!」という形がまとまりました。12月、全ての仕上げが決定。1回目の素材を集めるワークショップから2年半。2025年1月、足場が外れる日、私たちもお施主さんご家族も、喜びと共に抱いたのは「完成してしまうなんてなんだかさみしいな・・・!」という思いでした。

じっくり時間をかけて育ててきた建物の顔が、これまで、そしてこれからこの場所に関わる人たちに愛されるものであることを願いながら、これからもご近所にあるこの場所を、近くで見守ることができることは私たちにとってこれ以上ない幸せなことです。

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