2017年元旦:1年の振り返りと抱負:つみき設計施工社、河野直。
このブログを読んで下さっているみなさま、
日頃お世話になっているみなさま、
新年明けまして、おめでとうございます。
1年間、大変お世話になりました。
私事ですが、12月に無事次女が生まれ、4人家族になりました。長女が生まれてからたった3年しかたっていないのに、生まれたての赤ちゃんがこんなにも軽くてほわほわなのが懐かしい。あと、赤ちゃん特有のいいにおい。これから家族4人チーム、またお互いの両親や兄妹の手を借りながら、助け合って、楽しい時間を過ごしていきたいと思います。
2016年を振り返る
この1年間、なかなか自分自身でブログに文章を残すことができずにいました。楽しみにしていた方がおられましたら…すみません。2017年元旦の朝、このタイミングで1年間を振り返ってみたいと思います。思いつくことから、箇条書きで。
いっぱいお仕事させていただいた1年間。ありがとうございました。
2016年、ありがたいことに、途切れることなく、お仕事をさせていただきました。仕事は、参加型リノベーション2010年7月の創業から、変わらずやり続けています。家づくりと店舗づくりの両方を概ね半々くらいのペースで。
どの家づくりも店舗づくりも、すごく面白かった。2016年は若干、店舗が多い年だったかな。千葉大学林研究室様、webマガジンを運営するNPO法人greenz様、住宅メーカーのPOLUS様など、ビジョンとベネフィットを共有できる法人とのお仕事が増えたのも、この1年の特徴でした。あと、講演やワークショップ講師で各地に出張する機会もぐっと増えた1年でもありました。
どのお仕事も、お施主さんやご家族ご友人、参加者の表情、出来事を鮮やかに思い浮かべることができます。今年出会うことができた皆様に、心からの感謝を伝えたいです。
2016年最後の仕事
1年の最後は、わたしたちの拠点、市川大野での2つの仕事でした。どちらも自宅から徒歩2-3分のところ。1つは、ケーキ屋さん、Pattiserie tsuki。都内有名店での10数年の勤務を経て、地元市川大野の人たちに本当に美味しいケーキを食べてもらいたいと、相談を頂いたのが10月頃。自分たちが住み、働くまちにできるケーキ屋さんをつくるお仕事。どきどき、わくわくする気持ちで、設計施工に取り組ませて頂きました。待望のオープンは、1月末予定。
1|1イチイチ、立ち上げまで
もう1つは、私たち自身が運営する場所。その名も、1|1イチイチ。つみきのオフィスだけでなく、ショップや、ワークショップスペースを併設する文化複合施設を自主運営することになりました。わたしたちの家から目の前の場所にある、1Fテナント。1年以上空家状態が続いていました。二人目を授かったことが分かり、自宅兼事務所に限界を感じていた頃に、不動産に相談。家賃もお手頃で、内見すると、やたらと奥に広く続く魅力的な空間でした。(写真は、リノベーション後)
この場所を借りるかどうかメンバーに相談したら、「ショップをやってみたいかも」と、つみきのパートナーであるなつめ縫製の夏目さん。妻の桃子が4年くらい続けている「つみきの学校」も、ここで開催できる、と思いました。この場所をつみきのオフィスとしてだけではなく、様々なプレイヤーを受け入れ、パブリックな要素を入れることで、市川の町を面白くする拠点に育てられるイメージが湧きました。
こんな、ふわっとしたイメージのまま、借りることを決断。(大家さんがぼくたちのことを気に入って下さったのか、大家さんの方から家賃を少しまけてくれた!)
この時点で、それまで工房兼倉庫として入居していた123ビルヂングを退去することを決断。立ち上げから関わり、面白すぎる入居メンバーに恵まれ、愛着のある場所だったので、、すごく寂しい気持ちもありました。
自主運営施設・1|1イチイチをつくる
自らも入居する自主運営施設。設計と施工は、色々なプロジェクトの合間を塗って少しずつ進めました。自分たちの「好き」を少しずつ形にするプロセスは、すごくわくわくするものでした。細長い空間を、曲線で柔らかく分けたり、自由曲線の棚で空間を形作ったり。自由すぎて、大工棟梁の忍田さんには、それはそれは大変な仕事をして頂きました。いつもありがとうございます!
(この場所をつくるにあたって、中島工務店・中島創造さんからオニグルミのテーブル天板を、marumo工房・金澤萌さんからshopのmortexの床を、和建築工房・忍田孝二さんからワークショップ用のインパクトドリルを協賛して頂きました。この場を借りて、心から御礼申し上げます。)
自分の手でつくる日常
ともにつくる体験から、自分の手でつくる日常へ。
この場所のコンセプトを、こう定めました。わたしたちは、6年間で150回以上のワークショップを開催して、2000人近くの方々にともにつくる体験を提供してきました。この体験が、日常に変われば、どんなに豊かだろう。住宅地のど真ん中にあるこの場所を、その変化のきっかけになる場所にしようと思いました。
オープニング
結局半年以上の年月を経て、ようやくリノベーションが完了。12月にオープニングを迎えることができました。12月14日は、greenz.jp編集長の鈴木菜央さんを迎えて記念トークイベント、12月25日は知人を迎えてオープニングデーを開催した。2日で100名以上の方に来場いただき、この場所のスタートを一緒に祝うことができました。ご来場頂いた皆様、お祝いをお送り頂いた皆様、本当にありがとうございました。
1|1・場所の骨格
イチイチは、誰か、どんな使い方をするのか。市川の町のどんな役割を担っていくのか。その骨格は、これからだんだんとできていくのだろうと思っています。事前にしっかりと、コンセプトメイク、事業計画を立てて、それを基にあらゆるデザインとスキームを組むのが正攻法だろう。イチイチはその逆。徹底的にやりながら考えた。そしてこれからも、やりながら考え続ける。
これからこの場所を舞台に、出来事を起し続けることで、私たちが心から実現したい世界の骨格が見えてくるだろう。私たち自身も、この場所の行く末をイメージしきることを放棄して、心からわくわくしている。
ともにつくる。
理念、ともにつくる。妻であり共に会社をつくった桃子と決めたこの言葉に、ぼくたちはいつも引っ張られている。いつもこの言葉が、わたしたちに、深い学びと挑戦を与えてくれている。学びと挑戦の過程を通して、かけがえの無い仲間とつながることができた。そして、この学びは、一生終わらないのだと心に決めている。
心に残った仕事
11月に、この1年で特に心に残った出来事がある。市川に拠点をおく「さかなしホーム」の畑に、小さな小屋をつくるプロジェクト。さかなしホームとは、支えてくれる家族や安心して暮らせる家庭がなかった15才〜20才までの子供たちが、自立するために働いたり、学校にいく準備をする自立支援ホームだ。
ホームの施設長と話し合って、小屋づくりの最終2日間は、坂梨ホームに住む子供たちにもいつでも工事に自由参加してもらえるワークショップの段取りを取ることになった。実際に参加してくれるかは、当日になるまで分からなかった。少しの時間でも参加してもらえるか、どんな場になるか、不安な気持ちもあった。
ワークショップ当日。気がついたら、ホームに住む子供たち、施設のスタッフさんたちと、わいわいがやがや、他愛もない話をしながら、一緒に塗装をしたり、床張りをしたりしていた。ただただ、いつもと変わらない「ともにつくる」風景があった。みんなでつくる楽しさ、みんなで完成を迎える達成感。少しでも参加してもらえるだろうか、そんな不安はとっくに忘れていた。
お昼は、11月なのに初夏の様な日差しのさすお庭で。スタッフのみなさんが握ってくれた、おにぎりとお味噌汁をみんなで囲んだ。忘れられないくらい、美味しかった。シシトウだと思って焼いた韓国唐辛子が死ぬ程辛くて、みんなで笑った。
小屋づくりを終えて
無事小屋づくりを終え、子供たちやスタッフさんの笑顔を思い出すと、心が温かくなった。同時に、ワークショップが始まる前、自分の中に、どうして不安な気持ちがあったのだろうと考えると、涙が出た。壁は、自分の中にあった。ともにつくることを通して、自分でも気づかないうちに、無意識の壁の様なものは一瞬で消えていたのだと分かった。
境のない世界
ともにつくるって、すごい力があるのだと、改めて感じた。人と人、人と場所を、ものすごい引力で繋げる。年齢や職業、性別、無意識的にある様々な境界を、だれも気づかないうちに取り払ってくれる。6年前、設計者と施工者と住まい手の心の境を無くしたい、と思って掲げた言葉。だけど、人と出会い、見える世界を広げれば、もっともっと可能性があるのだと知った。
境のない世界。
インタビューで、つみきの活動の先にある未来ってどんな社会ですか、と聞かれて、とっさに答えたのがこの言葉だった。坂梨ホームの小屋づくりを通して、ぼくらが歩む方向の一歩先を教えてもらった。
つみきチームとして嬉しいこと
振り返りの最後に、つみきチーム組織として嬉しかったことをひとつ。気がつくと、コアメンバーの全員が、各々がやりたい事業や活動(マイプロジェクト)をやり始めた。各々の活動がともにつくることに軸足を置きながら、互いの活動を支え合う関係にある。
忍田棟梁は、南房総の地元メンバーと共に、森林環境保全を目的とした千葉木匠塾をスタートした。夏目さんは、なつめ縫製所プロデュースのショップをイチイチでスタートし、桃子は自身がつくりたいものを学び合ってつくる「つみきの学校」を新たな拠点でもやり続けるだろう。
やりたいことをやる。それを応援しあう。会社勤めを経験せず、やりたいことだけをやらせて頂いたぼくがたちが唯一描くことができる組織のビジョンが、これなんだろうと思う。
ともにつくる、を極める
今日から新しい1年が始まる。
参加型リノベーション。ともにつくることは、もっと良くできる。サービスを通じて、もっともっと豊かな暮らし、体験を提供したい。人と人、人と場所の関係性を深めていきたい。次の1年間もまた、サービスのブラッシュアップ、技術の習得やノウハウの開拓、まだまだやることがある。ともにつくるを、極める。
内から外へ
そのためには、つみきチームの中でも、もっともっと対話を重ねていきたい。互いを思いやること、学び合ったり、助け合う関係性を、組織の内側から大切に育てる。その温かい中心から、波紋を広げる様にして、ともにつくる輪は温度を保ちながら広がっていくのだと思う。(みんな、この1年もよろしく!いろんな壁を乗り越えていこう。)
伝える
気がつけば、2010年から、150以上のワークショップを通じて2000人以上にともにつくる体験を提供してきた。空家の増加や生き方の多様化から参加型リノベーションの開催ニーズも明らかに増え、6年間で溜まりに溜まったノウハウを、1冊の本として出版することに。ともにつくる、の担い手を増やすことにつながったらなにより嬉しいです。2017年夏出版予定です。お楽しみに。
ぼく個人の目標
10年後かもしれないし、5年後かもしれないが、「教育」がぼく自身の生きる指針となるだろうと思っている。どんな形でそれを実現していくのかはぼく分かっていないが、着実に船はその方向に進んでいる。
それと、世界。これも何年後かは分からないが、世界で仕事をするだろう。ともにつくることを通じて生まれる感動は、国の境を越え、世界へと伝わると思う。
最後に、ふわっとした、でもぶれることはないだろう自分自身の目標を締めに、2016年の振り返りをこれにて終えたいと思います。
2017年もまた、みなさんにとって、素晴らしい1年であります様に。
新年も、どうぞよろしくお願い致します。
合同会社つみき設計施工社
代表 河野直
2017年元旦 近所で唯一朝からおOPENしているマクドナルドにて。
*一部の写真は、「まなざすひと」田島氏撮影のものを使用させて頂きました。
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