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2016-05-10

古民家断熱改修ワークショップ@南房総vol.1


2016年1月の末、千葉県南房総市にて、南房総リパブリック主催の【南房総でDIYエコリノベ!】という企画で古民家断熱改修ワークショップの講師を務めました。1/29・30、2/6・7の4日間にわたるワークショップの様子を、2回に分けてレポートします。

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NPO南房総リパブリックが主催する、断熱改修ワークショップ

イベントの主催団体であるNPO法人南房総リパブリックは、美しい里山と都市をつなげるという考えで、「週末は田舎暮らし」の著者でもある建築ライターの馬場未織さんを筆頭に幅広い活動をされています。今回は南房総リパブリックの馬場さんと建築家の内山章さんが中心となり企画されました。ワークショップの講師は、みかんぐみの竹内 昌義さんとつみき設計施工社の河野 直が務めました。築100年近い古民家を、DIYで暖かく心地よくしようという4日間にわたる実験がはじまりました。

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舞台は古民家を拠点とする森の幼稚園

リノベーションの舞台は、『森のようちえんはっぴー』さんが園舎として使う古民家です。立派なたたずまいの古民家なのですが、室内はひんやりと冷たい空気に包まれ、ストーブの前以外暖まらないというような状況でした。

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雰囲気を変えずに「断熱」する

隙間の多い日本の古民家では、温かい空気は天井から熱が逃げてしまい、障子や建具の隙間から入る外気も熱を奪ってしまします。今回は古民家の持つ懐かしい雰囲気を残しながら断熱改修をするため、床下から天井の上下の対流を抑えて、空間自体の機密性を高めるという方法を選択しました。

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IMG_6994一般参加者とプロで一緒につくる断熱

床下と天井裏の断熱、そして断熱障子の製作が今回のワークショップの作業内容です。また、子供たちのために、外で使えるすのこと、煉瓦のかまど、木のベンチの製作も行いました。これらの工程を通して、大工の忍田さんが道具の使い方や施工方法などをレクチャーします。

途中で講師の竹内さんによるエネルギーや断熱についての座学と、河野代表によるつみきが行う参加型リノベーションの可能性についてのレクチャーも挟み、さらに内容の濃いワークショップとなりました。

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参加者の皆さんとラジオ体操をして体が温まったところで、作業開始です!

古民家の床をあたたかくする

DSC_3147まずは床下から入り込む冷気を塞ぎます。畳を剥がし、下に気密シートを敷いて気密テープで止め、その上に厚さ4mmのスタイロフォームを敷き詰めました。大工の忍田さんが床への墨の出し方、寸法の取り方をレクチャーします。1枚1枚丁寧に測り納めました。

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肌で感じる温度が変わった瞬間

スタイロフォームを敷き終えると、さっきより既に床が暖かくなっていることに気づき、みんなで頬ずり。畳を元の配置で戻して、床の断熱は完了です。足の裏の冷たさがなくなりました!

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障子も、断熱できる!

最も熱の逃げやすい開口部。既存の障子戸にツインポリカを張り、檜の角材で押さえた上からまた障子紙を張るという4層構成にすることで断熱性能を高めようと試みました。チームに分かれて、声を掛け合いながら作業します。

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光を通しながら、断熱する

障子が醸し出す柔らかな明るさはそのままに、しっかりと断熱をします。すこしの手間をかけるだけで、古民家の雰囲気を大切に残しながら快適な環境をつくることが可能です。

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工具の正しい使い方を知る

DSC_3187断熱障子をつくるのには、寸法を測る・ポリカをカッターで切る・差し金で墨を出す・手鋸で角材を切る・インパクトドライバーでビスを打つ、という作業工程がありました。DIYに慣れている方は特に、経験者でも意外と知らなかったりする“正しい工具の使い方”を大工の忍田さんからレクチャーして頂きました。

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子供たちが外で遊べる、すのこづくり

森のようちえんはっぴーの子供たちが外でお弁当を食べたり、広げて遊んだりできるすのこをつくりました。大きさは子供たちが持ち運びをできて、地面に置いてもグラグラしないと想定した90センチ四方で。仕上げに蜜蝋ワックスを塗りこんで完成です。参加者の皆さんもかなり打ち解けた様子で、いい雰囲気で作業が進みました。

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はっぴーに通う子供たちも飛び入り参加し、一生懸命やすりをかけてくれました。

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天井の補強は、プロの大工仕事

屋根の断熱には天井板の上にグラスウールを敷き詰める計画だったのですが、大工の忍田さんに天井裏を見ていただくと、これ以上の重さには耐えられない弱い構造で天井が吊ってあったことに気が付きました。そこで、グラスウールを乗せても落ちない頑丈な天井にすべく、他のメンバーが楽しいワークショップをしているその上で忍田さんは補強工事をしてくださっていました。DIYの現場でも、大工さんの専門的な知識と経験は、安全を守り建築の精度を保つためにとても重要なのです。

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変化をその場で実感する喜び

暖房をつけても寒さに震えていたワークショップ1日目の朝と比べると、ワークショップ後には暖房の良く効く暖かい部屋となっていることを、その場のみんなで体感しました。自分たちで施工したものの断熱効果が直に感じ取れることで、とても達成感のあるワークショップとなったと感じました。

次回は、3,4日目に行ったレンガのかまどづくりと、木のベンチづくり、そして天井断熱の様子をレポートします。

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