16/04/06 あかぎハイツ406 【親子で暮らす3人家族の家】
2015年11月、松戸にある賃貸マンション「あかぎハイツ」のオーナー様から、隣り合った2部屋を同時にリノベーションしたいというお話を頂きました。訪問してみて驚いたのは、オーナーのDIY技術の高さと賃貸住宅にかける溢れんばかりの情熱でした。すぐに、あかぎハイツの持つ魅力と可能性に惹きつけられた私たちは、わくわくした気持ちで2つの部屋の設計に取り掛かりました。
TV出演
同時に、テレビ東京から『空き家DIY』という2時間番組の撮影依頼があり、設計から施工までの様子が2016年3月13日に放送されました。この記事では、TVでは伝えきれなかったあかぎハイツの魅力と、設計から施工までのストーリーをご紹介します。
暮らしに愛のある賃貸住宅
みのり台駅から徒歩5分の場所に、あかぎハイツはあります。花と緑に迎えられる小道と、エントランスの大きな桜の木が印象的な賃貸マンションです。築年数は約40年。赤城さんご家族が代々大切に育ててきたあかぎハイツは、現在3代目の”よっちゃん”こと赤城芳博さんがオーナーを務めておられます。
(受け継がれるDIY精神)
(赤城さんご家族は、ここに住みながら管理運営、清掃、補修など手がけ、さらには部屋の改装までもオーナー自らがしたり、季節ごとに変わる玄関装飾をつくったりされています。工事に通い始めると、エントランスで出迎えてくれる装飾に毎日楽しませてもらいました。クリスマスツリーから正月飾りになり、「きれいなお花だなぁ…」と思っていたら節分の鬼が現れ、竣工後に行くと手づくりの吊るし雛が飾られていました。その1つ1つに赤城さんのハイツへの愛情を感じます。)
今までにないような、新しい流れをつくりたい。
オーナー自らも素敵なお部屋をつくってきた赤城さんからつみき設計施工社へ設計依頼をいただいた背景には、「今までのあかぎハイツにないようなデザインの部屋をつくり、新しい風を吹かせたい」という想いがあったようです。また、オーナー参加型のリノベーションを望まれていたため、つみきの「ともにつくる」精神に共感していただきご連絡を頂きました。
3人家族の家
406号室は南向きの角部屋で、採光が非常に良く、見晴らしも最高でした。光に満ちたこの部屋は、若い両親と子供の3人家族が住むことを想定し、柔らかな木のぬくもりが感じられ、ところどころに遊び心のある設計にしました。
やさしい木のぬくもり
フローリングには無垢のメイプルを採用し、蜜蝋ワックスをかけて優しい風合いに仕上げました。ダブルトーンのクロスは、子供が汚しやすいエリアの壁紙を、将来的に下半分だけ変えることもできるようにしています。
陽の当たる窓辺に小さな空間
元はベランダにあった洗濯機置場を室内に移動し、窓際にサンルームをつくりました。子育てでたくさん出るであろう洗濯物が雨でも干せます。また、サンルームの木製建具が二重サッシの役割を果たすため、断熱効果にも期待できます。
和室を、楽しくキッズリノベーション
窓際6帖の和室は、元あった畳を撤去し、この空間に合わせた白っぽい色合いでシンプルなものを選びました。元は4畳半の和室だった部屋は、カラフルなタイルカーペットを敷き詰めキッズルームにしました。このタイルカーペットのデザイン・施工は、つみきのアートディレクターであり、なつめ縫製所の所長、夏目奈央子さん。遊び心満載の可愛い子供部屋になりました!
隠し扉のある壁
居間とキッズルームをつなぐこの小さな扉は、埼玉県新座市にある時代家具・建具「のびる」でオーナーと選んだもの。新しい壁に、古建具ならではの懐かしい日本家屋のような味が出ました。また、内側に好きな布を貼り付けて自分好みにカスタムできるよう、アレンジを加えています。この布も、夏目さんが選んでくれました。
タイルのキッチンカウンターで
キッチンは赤城さんのご希望でワークトップをタイル貼りにしました。オーナーがこだわって選んだ水栓金具も、高いデザイン性でキッチンにアクセントをプラスしています。
表情豊かな素材に囲まれた生活
この部屋には、暮らしをつくる様々な素材が散りばめられています。木、砂、紙、布、陶器、真鍮・・・。子供と一緒に発見を楽しむのも、いいかもしれません。日々生活をする家の中に、1つでも多くの発見と好きな部分を見つけられたら、暮らしももっと楽しくなると思います。
オーナーの”よっちゃん”と、ともにつくる
“よっちゃん”の愛称で周囲から親しまれるオーナーはあかぎハイツを誰よりも愛し、住人の方々を常に1番に考える素敵な人物です。持ち前のほんわかした雰囲気で場を和ましながらも、実は力持ちで、器用で、こだわり深い職人気質。そして、人一倍勉強家なのが、一緒に現場に入ってわかったことでした。
DIYだから、気持ちがそのまま反映する
流石はいくつもの部屋をDIYでつくってきただけあり、手際よく進む現場。「こうしたら使いやすい!」「ここにこれがあれば面白い!」と、少しでも暮らしを良くするアイデアがどんどん出てくる”よっちゃん”からは常にあかぎハイツへの愛を感じました。写真は、左官職人の金澤さんのご指導のもと、キッチンのタイルを貼っている様子です。
職人から本気の現場指導
「DIY」といっても、そこに職人が一人居ることで、できるものとその意味は変わってきます。もちろん、建築現場では大工や職人にしかできないことが多々あります。長年の経験から培われた知識と腕前があってこその精度というものがあり、それは真似ようとしても簡単にできることではありません。
いい住まいをつくりたい。
しかし、職人から教えてもらうことで、私達でもできることの精度は格段に上がるのです。「できることは全てやりたい」と、解体工事からほとんど毎日現場にいたオーナーは、大工や職人から建築を学ぶ姿勢が常に感じられました。忍田さんの指導にも熱がこもります。「いいものをつくりたい。」という想いの一致している心地よさが現場にはありました。
オーナーが丁寧に仕上げる
私たちが工事を終えて引き上げた後も、オーナーによる仕上げ工事は続いていました。竣工写真を撮りに久々に406号室を訪れると、前はなかった位置に便利な棚がついていたり、ちょっとした装飾が施されていたりと、当初はなかったこだわりのアイデアが満載で驚きました。オーナー”よっちゃん”の愛情のこもった部屋が、出来上がりました。
愛ある賃貸で、新たな物語
ここまで賃貸に愛情を注ぐオーナーがいるということは、生活をする上でとても幸せな環境であると思います。そして、これからのあかぎハイツには、暮らしに愛情を持つ住人の輪ができることでしょう。”よっちゃん”が、必ずそういう人を引き寄せるだろうと思います。「ゆくゆくは住人が自ら盛り上げている賃貸にしたい。」そう私たちに語ってくれた赤城さん。この出会いをきっかけに、あかぎハイツで始まる新たなストーリーを、ともに見守っていきたいと思います。
写真は『空き家DIY』の取材でつみきオフィスを訪れたスギちゃんと、赤城さん、そしてつみき設計施工社のメンバーで撮った記念写真です。
実は・・・
406号室には素敵なご家族が入居することになりました!ここから先は、住まい手と大家さんがともにつくる物語。
あかぎハイツに興味を持たれた方、オーナーの”よっちゃん”に会ってみたい方、一緒に新しい賃貸での暮らしをつくってみたい方は、ぜひ一度足を運んでみてください!
►►あかぎハイツの情報はこちらから
ホームページ:http://akagiheights.com/
Facebookページ:https://www.facebook.com/あかぎハイツ-427977310601241/
Instagram:http://Instagram.com/akagi_heights
►►同時に設計を行いました、407号室のレポートもどうぞご覧ください。
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